
になった点が注目される、あわせて注意しておく必要があることは、すでにこの時点でそうした基幹部分に対する助成が、今後「事業が実績を有する限り、助成も継続せざるを得な」くなってしまい、結局のところ「基金運営は近い将来、硬直化してしまうのではないかとの危倶も生ずる」としていた点である16)。 さて、ここからは現在実施9年目となっている振興事業およびこれを支える地域福祉振興基金の運営のあり方をめぐって、都の財政危機を背景にしながらいかなる見直し課題が浮かび上がっているか明らかにしたい。ヒヤリング時点ではまだ「改善案」の全体が公表できるまでには調整作業が進んでいないようであるが、都から関係者に示されている具体的な改善項目は、次の2点である17)。 ?@助成対象団体については、前述の報告により95年度から福祉公社を外したのに続いて、97年度からは区市町村の社協も外したい。その理由は、福祉公社にしても社協にしても区市町村の「実施責任」の下で主体的に運営されており、都の責任で行う振興事業の助成対象団体にそれを含める必要性が乏しいためであるという18)。 ?A助成対象事業については、事業目的で謳われている「先駆的、開拓的、実験的」な性格が乏しくなっているとして、97年度からは有償家事援助サービス・食事サービス・ミニキャプ運行システムの3事業を外し、区市町村に移管したい。これによって、97年度からは当該事業の実施(新規・継続)に伴い、区市町村にも新たに運営事務や財政負担等が生じることになる。 ?@についていえば、実際問題として区部・市部ともに社協や、それとの役割分担の必要性から設立されたといわれている公社19)が「先駆的、開拓的、実験的」な事業に直接・間接に関わってきた実績がある。現在でも基金管理委員会(1994年6月当時)のいうとおり当初の基本的な考え方(「中間のまとめ」)を「踏襲」するのであれば20)、社協や公社を助成の対象外にする理由は何もないと思われる。重要なことは、ここで90年の福祉関係8法改正の絡みで生じた「実施責任」問題(都道府県から区市町村への権限委譲)によって、都と区市町村の役割分担の視点が新たに登場している点であろう。 ?Aについていえば、前述しているところから明らかなとおり、この3事業は振興事業の中心部分を成してきたものであり、そのため「3事業外し」の問題以上に地域福祉振興事業それ自体のあり方問題に発展しかねない重要な論点を内包させている。ちなみに、指摘されている「先駆的」等の性格の「乏しさ」という理由よりも、公的介護保険制度の法制化を目前にしてミニキャブ運行システムを除く2事業が新たに介護給付の対象化されたた
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